みなみの備忘録

とある図書館員(?)の備忘録です。

2/18 RDUF総会及び公開シンポジウムメモ

こちらも大分遅くなりました。2/18に開催されたRDUF総会及び公開シンポジウム@JSTの参加メモ。

イベント | 研究データ利活用協議会 RDUF (Research Data Utilization Forum)

資料は後日ウェブサイトで公開されるはずなので、例によって気になった発表のメモを。

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1.RDUF総会(13:15~14:15)

会員からの活動報告として、以下5点の報告があった。

 

1) 海洋研究開発機構JAMSTEC

 データへのDOI管理システムを構築するため、研究者へのアンケート調査を通じ、関連システム機能の強化及びDOI付与ガイドラインの整備を行っているとのこと。アンケートではデータの更新頻度だけではなく、データ保存のミラー状況も聞いたとか・・・各研究者の意識の高さが窺われる。

 

2) 高輝度光科学研究センター(Spring-8
 オープンデータへの参画促進のため、Spring-8内で公開データ、アクセス制限付きのデータを統合的に管理し、ユーザーへWeb UI及びスクリプト処理によるデータ取得を提供する予定とのこと。公開用のデータにはオープンデータへのリンクを含めており、外部ウェブサイトとの連携を志向。オープンデータのメタデータも収集対象にしているところはウェブ的で面白い。データリポジトリは選別された情報の収集に価値があると思う。

 

3) 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)
 統合イノベーション戦略の施策へのRDUF活動実装に関する取り組みが紹介された。各小委員会の活動を実装するための道筋整備が今後の課題とのこと。

 

4) 東洋大学(芦野氏)
 こちらは機関としての取り組みではなく、個人の活動成果。CODATA Working Groupにおける活動として、Responsible Research Data Management (RRDM)のほか、社会科学データへの展開を見据えた議論が紹介された。CODATAでも、データポリシーやデータサイテーションに関する議論が重みを増してきているとのこと。しかし、FAIRもそうだが(FAIRerとか)、派生語が多すぎてついていけてない・・・そのうち集約されることに期待(人任せ)。

 

5) 名古屋大学(能勢氏)
 こちらも4) 同様、個人の活動成果。太陽地球科学分野におけるデータ引用の取り組みとして、学会誌でのデータDOIの認知・受容状況に関する報告があった。データへのDOI付与自体は概ね査読者に受け入れられているが、書式の違いやDOIの表示形式につき同一の分野内でも揺れが生じている状況とのこと。そういえば、最近読んだ政治学系のレビュー論文(doi:10.1017/S0003055418000801)でもdataverseへのdoiリンクを発見した。データ公開の文化があるところでは割と当たり前に受容されつつあるんだろうか。

 

2.公開シンポジウム(14:30~18:00)

公開シンポジウムは招待講演のほか、既存の小委員会の活動報告及び新規小委員会の紹介など。100人以上はいたはず。

 

1) 招待講演
 弘前大学の村下氏による、医療情報の活用に関するCOIプロジェクトの紹介があった。大学サイド主導の企画のもと、企業が持つ健康に関するデータを利活用可能な形で取得し、地域にも還元していく枠組みとのことで、およそ大学っぽくない(注:称賛です)交渉や駆け引きの一端を垣間見た。質疑応答では、データの公開ポリシーや社会ステークホルダーの巻き込み方、他企業の関係などポリシー面での実情が中心。
 この事例でもそうだが、産業でのデータ流通の場面においては、データを提供したり、共有したりする各フェーズで必ず対価が求められる(成果のフィードバック、金銭の提供など)。提供条件の「相場」を定めていくことも重要だが、最終的にOpen by Defaultを目指す研究機関との隔たりはそれなりに大きく、何らかの形で対等な関係にならないとオープンなデータ提供は進みそうにない、というのが感想。Openの範疇で要求しうる「対価」はクレジットだけなので、まずはデータ引用の文化が重要としても、加工・公開コストの問題は残っている。恐らく個別のデータ提供条件の整備では解決せず、オープンデータを推進する大学/研究機関への寄附だとか助成機関からの補助金交付だとか、より広い文脈でサイクルを回す解決策にならざるを得ないのだろう、とは勝手な憶測。

 

2) 平成30年度小委員会活動報告
 既存の小委員会(データ管理計画、ライセンス、リポジトリ)の活動報告。報告にも関わらず、各40分(報告30分+質疑10分)の長丁場。自分も何とか担当部分の報告を終えた(残務が終わった訳ではない)。ご質問くださった方どうもありがとうございます。

 このテーマ(ライセンス)、図らずも産業界の方からの反響が大きく、研究データ利活用に関心のある人はむしろ学術コミュニティ外に多いことを実感した次第。来年度も継続できると良いな。