みなみの備忘録

とあるライブラリアンの備忘録です。

2/18 RDUF総会及び公開シンポジウムメモ

こちらも大分遅くなりました。2/18に開催されたRDUF総会及び公開シンポジウム@JSTの参加メモ。

イベント | 研究データ利活用協議会 RDUF (Research Data Utilization Forum)

資料は後日ウェブサイトで公開されるはずなので、例によって気になった発表のメモを。

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1.RDUF総会(13:15~14:15)

会員からの活動報告として、以下5点の報告があった。

 

1) 海洋研究開発機構JAMSTEC

 データへのDOI管理システムを構築するため、研究者へのアンケート調査を通じ、関連システム機能の強化及びDOI付与ガイドラインの整備を行っているとのこと。アンケートではデータの更新頻度だけではなく、データ保存のミラー状況も聞いたとか・・・各研究者の意識の高さが窺われる。

 

2) 高輝度光科学研究センター(Spring-8
 オープンデータへの参画促進のため、Spring-8内で公開データ、アクセス制限付きのデータを統合的に管理し、ユーザーへWeb UI及びスクリプト処理によるデータ取得を提供する予定とのこと。公開用のデータにはオープンデータへのリンクを含めており、外部ウェブサイトとの連携を志向。オープンデータのメタデータも収集対象にしているところはウェブ的で面白い。データリポジトリは選別された情報の収集に価値があると思う。

 

3) 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)
 統合イノベーション戦略の施策へのRDUF活動実装に関する取り組みが紹介された。各小委員会の活動を実装するための道筋整備が今後の課題とのこと。

 

4) 東洋大学(芦野氏)
 こちらは機関としての取り組みではなく、個人の活動成果。CODATA Working Groupにおける活動として、Responsible Research Data Management (RRDM)のほか、社会科学データへの展開を見据えた議論が紹介された。CODATAでも、データポリシーやデータサイテーションに関する議論が重みを増してきているとのこと。しかし、FAIRもそうだが(FAIRerとか)、派生語が多すぎてついていけてない・・・そのうち集約されることに期待(人任せ)。

 

5) 名古屋大学(能勢氏)
 こちらも4) 同様、個人の活動成果。太陽地球科学分野におけるデータ引用の取り組みとして、学会誌でのデータDOIの認知・受容状況に関する報告があった。データへのDOI付与自体は概ね査読者に受け入れられているが、書式の違いやDOIの表示形式につき同一の分野内でも揺れが生じている状況とのこと。そういえば、最近読んだ政治学系のレビュー論文(doi:10.1017/S0003055418000801)でもdataverseへのdoiリンクを発見した。データ公開の文化があるところでは割と当たり前に受容されつつあるんだろうか。

 

2.公開シンポジウム(14:30~18:00)

公開シンポジウムは招待講演のほか、既存の小委員会の活動報告及び新規小委員会の紹介など。100人以上はいたはず。

 

1) 招待講演
 弘前大学の村下氏による、医療情報の活用に関するCOIプロジェクトの紹介があった。大学サイド主導の企画のもと、企業が持つ健康に関するデータを利活用可能な形で取得し、地域にも還元していく枠組みとのことで、およそ大学っぽくない(注:称賛です)交渉や駆け引きの一端を垣間見た。質疑応答では、データの公開ポリシーや社会ステークホルダーの巻き込み方、他企業の関係などポリシー面での実情が中心。
 この事例でもそうだが、産業でのデータ流通の場面においては、データを提供したり、共有したりする各フェーズで必ず対価が求められる(成果のフィードバック、金銭の提供など)。提供条件の「相場」を定めていくことも重要だが、最終的にOpen by Defaultを目指す研究機関との隔たりはそれなりに大きく、何らかの形で対等な関係にならないとオープンなデータ提供は進みそうにない、というのが感想。Openの範疇で要求しうる「対価」はクレジットだけなので、まずはデータ引用の文化が重要としても、加工・公開コストの問題は残っている。恐らく個別のデータ提供条件の整備では解決せず、オープンデータを推進する大学/研究機関への寄附だとか助成機関からの補助金交付だとか、より広い文脈でサイクルを回す解決策にならざるを得ないのだろう、とは勝手な憶測。

 

2) 平成30年度小委員会活動報告
 既存の小委員会(データ管理計画、ライセンス、リポジトリ)の活動報告。報告にも関わらず、各40分(報告30分+質疑10分)の長丁場。自分も何とか担当部分の報告を終えた(残務が終わった訳ではない)。ご質問くださった方どうもありがとうございます。

 このテーマ(ライセンス)、図らずも産業界の方からの反響が大きく、研究データ利活用に関心のある人はむしろ学術コミュニティ外に多いことを実感した次第。来年度も継続できると良いな。

"Data Discovery Paradigms: User Requirements and Recommendations for Data Repositories"感想

Data Science JournalのRDA results特集に、下記の研究論文が掲載されていた。

Data Discovery Paradigms: User Requirements and Recommendations for Data Repositories

本稿ではRDA Data Discovery Paradigms IGの活動成果として、データ発見、検索面からのデータリポジトリへの推奨要件をまとめている、とのこと。まとめ方は「定性的な分析をもとに、経験則による評価と専門家によるレビューを受けた」とある。微妙にデータっぽくない(?)気がしなくもないが、まあそれはさておき、79のユースケースを収集して10の要件を抽出したとのことで、ざっくりとまとめてみる。誤解や見当違いはご容赦を。

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1.Introduction

FAIRデータ原則の紹介に始まり、データの発見可能性を高めることの重要さが書かれている。データリポジトリがデータ発見をどのように支援するのか、という点の標準的な理解を得ること、特に横断的な基準を明確にすることが目的の様子。W3CのWGによる先行研究をもとにしつつ、

Data on the Web Best Practices

データ検索に関するユースケースを分析し、開発者だけではなくリポジトリ管理者や研究者向けに役立つ基準作りを目指した、とある。

 

2.Case Study Methodology

ケーススタディの収集先としては、Jiscほか4つのサイトから収集。インタビュー結果などの情報が点在していたものの、(当然ながら?)フォーマットはバラバラだったので、"open interview format"に従ってまとめ直したとのこと。

# googleでちょっと検索した限りでは"open interview format"なる規格のページは

# 見当たらなかったけれども、特に引用もされていないのでそういうものなのだろうか

# (知識不足の可能性は大いにある)。

上記サイトからは64のユースケースが集まったものの、中を見たらほとんどが「研究者」にフォーカスされたものだったそうで、より多様性を求めてALAやACRLなど、図書館系のサイトから追加収集を試みた。結果、追加で15のユースケースが集まり、合わせて射程をlibrarianとfunderまで拡張することにした、とのこと。
さて、集まったデータに前処理(語彙の統制など)を加えつつ、

1) データ発見に関連すること

2) データ利用者に関連すること

の観点から分析したところ、24の用語に集約できた。さらに大カテゴリとして"metadata"、"portal functionality"、"data"(注:"data"は「その他」に近い)の3つに分け、要件を整理した。そのうえで、用語ごとに"requirement"のまとめを抽出しつつ、「誰向けの要件か」という視点を加えて「9つの要件(REQ)」に再整理。(このあたり、かなり作業間の関係性がややこしい)

(9つの要件:訳は試案)
REQ 1. データ可用性(Availability)の表示
REQ 2. 人/機関/論文/引用/助成金とのデータの関連
REQ 3. 完全な注釈付きのデータ(粒度、出所(origin)、ライセンス、来歴(provenance)、作製方法、ダウンロード回数など)
REQ 4. 特定の基準に基づき、同時に複数のフィールドのデータをフィルタリングする(リリース日、地域情報、テキストコンテンツ、日付範囲、特定のイベントなど)
REQ 5. データの相互参照(同じリポジトリ/異なるリポジトリ
REQ 6. ビジュアル分析/データ検査/サムネイルのプレビュー
REQ 7. 共同作業環境におけるデータの共有(データセット全体、特定のレコード、または書誌情報)
REQ 8. 付随する教材(educational/training material)
REQ 9. 他の確立された学術ポータルと同様のポータル機能

要件の使い方としては、1) データサービスのポータルを構築・実装するうえでのチェックリスト、2) 既存のデータディスカバリサービスの機能改善、3) ユーザー視点でのパラダイム構築(の事例?)、が挙げられている。

 

3.Recommendations to data repositories on data discovery
さて、9つの要件を実現するための提言(Recommendation)として、FAIRデータ原則を引きつつ以下10個が提示されている。順番には特に意味はないとのこと。個別の紹介は長いので省略・・・機会があれば。

(10の提言:訳は試案)
REC 1. さまざまなデータ検索行動に対応するためのクエリインターフェイスを提供する
REC 2. データを検索するための複数のアクセスポイントを提供する(例:検索、件名閲覧、ファセット閲覧/フィルタリング)
REC 3. 研究者が検索サマリからデータコレクションの関連性、アクセシビリティ、および再利用性を判断しやすくする
REC 4. 個々のメタデータレコードを読みやすく、分析しやすくする
REC 5. 書誌参照(bibliographic reference)の共有とダウンロードを有効にする
REC 6. 利用統計を公開する
REC 7. 他のリポジトリとの一貫性を保つように努める
REC 8. 同じデータオブジェクトを記述するメタデータレコードを識別して集計する
REC 9. 主要なWeb検索エンジンによるメタデータレコードの索引付け(indexing)と検索を容易にする
REC10. 相互運用性のために、API検索標準とコミュニティで採用されている語彙に従う

 

4.Discussion and conclusion
主として、10の提言の射程と限界について考察されている(と理解した)。いくつかはデータリポジトリ特有のものではなく、検索システム一般向けのものも混ざっている(REQ4、REQ8、REQ9あたり)。それ以外はデータリポジトリ寄りだが、もちろん改善の実際はこの提言の範疇だけではなく、より特定のユーザーコミュニティに沿った形はありうるだろう、等々。

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全体の感想。主として開発者向け、ということで要件がまとめられたのはまず分かりやすくて良い。欲を言えば、データリポジトリの利用者はまず分野の研究者になるはずなので、そこにもう少し踏み込んで欲しかった(というのは求めすぎだろうか)。あと、リポジトリの機能実装を考える上で、検索サービスだけに特化した提言はなかなか参照しづらいかも・・・CoreTrustSealの一部とかになってくれると良い気がするが、連携はあるのだろうか。この辺は今後の活動に期待したい。

1/30 「オープンデータと大学」シンポジウムメモ

2月があっという間に過ぎて行った。。。いろいろ書いておくべきことがあるけれども、まずは前回積み残しのものから。

シンポジウム「オープンデータと大学」 | 九州大学大学院統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻

1月末に九大図書館で開催されたシンポジウムに登壇させていただきました。他の方々の講演内容はスライドが公開(※)されていたり、ライブラリーサイエンス専攻の年報に掲載されたりするらしいのでそちらに譲るとして(というか皆さんの資料以上のことは特に書けない)、ディスカッションで印象に残ったことのメモ(+後で考えたこと)を。

※なお、公開スライドはわざわざ自分だけCC-BYにしてもらいました(アピール)

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・オープンデータの進め方

→ オープンデータを進めるに当たっては学内での協力を当然求めていくことになるが、変にインセンティブを出すと反発が起きかねないかも、という懸念(という趣旨と理解した)。

 → データは、誰に向き合うのかによって公開可否やアピールポイントが異なってくるので、場合分けして議論を詰めていく必要あり。大学院生にはこれから当然になりつつある流儀として伝えていくべきだろうし、経営層にはオープン化が大学の競争力を削ぐものではなく、むしろ研究者に魅力的な環境を提供する基盤があることをアピールできるものとして伝えていく必要があるだろう。

 

・大学評価とオープンデータ(あるいはオープンサイエンス)

→ オープン化の指標が必要では、という問いを含んだものとして理解。個人的には、オープン化の度合いが大学評価に組み込まれることには抵抗感がある。というのも、データは産業的な価値から公開可否が決まる面があり、あまり使われないデータはよりオープンに向かう(ことで存在意義をアピールする必要がある)が、閾値を超えると逆に囲い込みの対象となってしまう。大学評価の観点では、クローズであっても良い研究や産学連携に繋がるのであれば歓迎だろう。デジタルアーカイブの文脈では評価もセットで検討されているようだが、

 

我が国におけるデジタルアーカイブ推進の方向性

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/digitalarchive_kyougikai/houkokusho.pdf

 

このあたりは公共オープンデータや既に法的期限切れのデータと分けて考える必要がある、との認識は変わっていない。その意味では、大学や研究機関の公共性は「競争力(特に国際的な)」で制限される、という言い方ができるかもしれない。

 

・「大学」自体のオープンデータについて

→ 大学はオープン化の潮流に対して何をするのか、という問題意識。もちろん、公共機関としての大学データ公開は、文書管理の問題として現れてくる。大学の社会的責任を果たす上で文書オープン化は有効だが大概の場合お金は付いていないので、そこに資金を集めるための方策が必要。勝手な思いつきとしては、市民に向けたデータを公開するためなので、クラウドファンディングも選択肢になるのでは、と思ったり。大学の元関係者(友の会的な)からの出資が見込めるかも。

 

・専門家養成のシステムについて

→ データの専門家が必要か、という問いに対してはもちろんyesだが、養成システムが必要かどうか、(改めて考えると)悩ましい。当日のスライドとはやや違った方向性になるが、というのも、養成システムは既に各所にあって(例えばSE関係の研修)、単にその技能を持つ人たちに職が開かれていないだけ、と思い始めている。大学内でも、職に魅力があればやりたいと思っている人材はいるだろうし、自分でスキルを身に着けてくる人もいるだろう。足りないのはポジションだけなのでは、というのは行き過ぎだろうか。

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今回のディスカッションの反省。実のところ、「自分たちがなぜ推進すべきなのか」という問題に対して「説明責任」だとか社会の潮流の観点でしかうまく説明できなかった。ほとんどの場合、大学/研究機関にとってオープン化はまだ「外部のため」でしかないのは薄々感じていて、自分ごとに引き付けるために必要な、オープン化を進めることで自機関に何かが返ってきたり、自機関の研究者に資すると言い切れるポイントが具体化しづらい。うーん、何かないですかね。

1/25 東アジアデータ・アーカイブ国際ワークショップ参加メモ

久々に外勤&出張が続きました。九大のシンポジウムは追ってまとめるとして、取り急ぎ先週末に参加した東大社研のワークショップのメモを。

・東アジアデータ・アーカイブ国際ワークショップ

https://csrda.iss.u-tokyo.ac.jp/international/pdf/20190125workshop_poster.pdf(直リンク注意)

東アジアのデータ・アーカイブに関する国際ワークショップ、ということで中国、韓国、台湾などの担当者が来日していた様子。今回は都合上、1/25(金)の1日のみ参加。ミシガン大学のJared Lyle氏(ICPSRのarchivist)による、ICPSRの評価と認証に関する実践報告があった。資料は下記で公開されている:

Data Repository Assessment & Certification: Experiences and Lessons Learned

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以下、内容の概略。

1) ICPSRの背景
 ICPSRの歴史のほか、利用状況やサービス展開の紹介があった。保有しているデータの中には、80,000回を超える引用があったデータも存在するとのことで・・・さすが。ICPSRではデータのライフサイクルに沿ったガイダンスを行っており、倫理審査やデータ管理計画作成のためのテンプレートを提供しているとのこと。

 

2) 評価の重要性と様々な指標の実践
 2013年のOSTP指令や、災害への危機意識の高まりから、信頼性や透明性の向上、手続きの改善、(各種ポリシーやシステムに関して)コミュニティ標準への準拠とともに、ドメインリポジトリの有用性を関係各所に示す必要が生じてきた。ということで、ICPSRでは2005年よりCRL test audit、TRAC/ISO、DSA、WDSなど様々な評価指標を試してきており、その知見を活かして、昨今立ち上がったCoreTrustSeal認証も実践してみた、というところで今回の報告につながる。分野違いのはずだが、WDSまで手を出していたとは・・・

 

3) 各指標の比較(労力とリソースの観点から)
 前述した指標の概要、およびそこから得られた知見の説明があった。労力とリソースの観点からは、CoreTrustSeal認証が、取得に必要な手間(注:必要な専門職員と整備すべきポリシーの両方を含む)が最も少なくてすみ、他の認証よりも経済的とのこと。もっとも、CoreTrustSealが2) に示す要素の向上・改善に役立つかどうかは、さらにこれから検証する必要があるとの補足あり。
ちなみに、CoreTrustSeal認証用の文章を執筆するために要した時間は、Metadata and Preservation Director(つまり彼)が2日掛かりとのこと。他の認証だとこれじゃ済まない(他の関係者の協力だとか追加調査が必要になるとか)、との話だが、まあまあな負担では・・・

 

質疑応答では、評価を取得するために行った実作業やポリシーの整備、ICPSRが使用しているシステムやそのメンテナンス、データおよびメタデータを整備するためにかかっているコストなどの質問が寄せられていた。総じて、役割分担が明確なのでそれほど負担ではない(⇔単純にリポジトリに関わっている人数が多い)という風に受け取れたが、おそらく外部からの目が厳しい分、そうならざるを得ない、ということなんだろう。実践を内外にいろいろな形で示していくことの重要性を再認識(にしても、CTSはもう少し簡単にならないものか・・・)

2018年の振り返り

大分遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
2018年はいつになくいろいろあったので、周りの方々を真似て振り返りなどを。

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1月

「情報管理」誌に共著記事が載った。
JPCOARスキーマの策定:日本の学術成果の円滑な国際的流通を目指して

夜中の12時にもなってから九州の某氏とrelationTypeの意味がどうの、と議論していたのは良い思い出。
電子リソース管理システムの資金調達、在庫管理システム&画像公開システム導入・開発とシステムづくめの日々。

2月

RDUFのライセンス小委員会アンケート開始。直前まで設問作りをしていたような(委員の皆さま調整不足ですみません。。。)

研究データ利活用協議会(RDUF)研究データのライセンス検討プロジェクト小委員会、研究データのライセンスに関するアンケート調査を実施中 | カレントアウェアネス・ポータル

ORCIDコンソーシアム検討会での文書翻訳に関わらせていただいたり、

http://orcid-jp.net/2018/02/23/orcid%E6%96%87%E6%9B%B8%E5%92%8C%E8%A8%B3%EF%BC%9Aroles-and-responsibilities-of-orcid-
consortia/

Alma導入に向けて暗躍してみたり(これは残念ながら実らず)。
この頃FAIRデータ原則が妙に気になり、翻訳に手をつけたりしていた様子。

FAIRデータ原則に関する覚書き part1 - みなみの備忘録

3月

RDA plenary meetingに参加するため中旬からドイツへ。ゲッティンゲンとベルリンを回った。
「情報管理」誌が3月で休刊とのことで、編集委員を務める某誌近辺が俄かにざわつく。

「情報管理」誌休刊のお知らせ 
1月から引きずっていたシステム関係の案件は年度最終日までもつれ込んだ記憶が・・・

4月

「薬学図書館」に報告書が掲載された。
電子リソース管理システム Intota ERM 導入報告. vol.63(2) p.128-133
その他、関わっていたタスクフォースの報告書も無事掲載。めでたい。
次期JAIRO Cloud開発共同タスクフォース報告 : 次世代リポジトリの機能に関する提案

http://id.nii.ac.jp/1458/00000091/
職場の英文誌のGDPR対応が本格化(そもそも遅い)。某誌編集委員会メンバーの出入りがようやく落ち着いた。

5月

親機関のデータ融合プロジェクトが本格的に始動。メタデータチーム担当者として活動することに。
所掌する各種委員会の準備に追われつつ、周りの大学に触発されてMendeley機関版の導入を企画。合間を縫ってJpGU2018に参加したり。
下旬には現職の履歴書を書いて提出していた模様。

6月

思えば最大の山場だったJOSS2018の開催。

Japan Open Science Summit 2018(JOSS2018)
セッションを二つ企画することになり、4月からかなり調整に時間を取られる。特にメタデータセッションは全体の構成に最後まで悩んだ。

6/18 ライセンス検討小委員会セッションメモ - みなみの備忘録

6/18 図書館×メタデータ・組織化セッション - みなみの備忘録

下旬に書類面接通過の連絡があり、10数年振りの面接に挑む。月末のサンメディアセミナーではブースの出展など。

7月

1日に開催されたJSPSのワークショップに参加。インフォーマルな打ち合わせにもお誘いいただき、「ライブラリアン」の肩書きで紹介されたのが印象に残っている。

課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業|日本学術振興会
中旬には二次面接があり、回答があるまで落ち着かない日々が・・・
8月に一般公開を控えつつも、仕事の引き継ぎや整理を考え始める。

8月

上旬は毎年恒例の一般公開に引き続き、自然科学系アーカイブズ研究会へ参加。3月にやっていたシステム導入の紹介をした。
帰ってきたところで転職の話を人事に恐る恐る説明するも、あっさり承認されて妙な脱力感(まあいいのか)。
下旬には研究データ管理の新教材試用プロジェクトの説明をした。

9月

退職準備が本格化する中、発表や説明会の機会が妙に集中。中旬は毎日のように前に立って喋っていた記憶が。
ここにきてOA方針の運用指針を決める話が動きだし、最後のひと働きを余儀なく(?)される。まあいいけど。
後任が最終週に決まってとにかく良かった。

10月

初日から台風の影響で遅刻。満員電車の洗礼にあう。
ライブラリアンが二人採用されたことをここで初めて知る(そして同じ業界にも関わらずほぼ初対面でした)。
前職時代に引き受けていた諸々の外部活動と並行しつつも、新部署ということで毎日のようにブレスト。新鮮。
後半には7月に開催されたJSPSのプログラムの続きに参加した。

10/20 JSPS人社系シンポジウム参加メモ - みなみの備忘録

下旬には学術情報委員会の傍聴や総合展にも参加。思ったより受け入れてもらえて何か落ち着いた。
転職を機に各方面から苦情(?)が来ていたFacebookの写真を更新するも、今度はフォトショがどうの修正がどうのと・・・(愚痴

11月

職場の業務が本格的に始動。また(?)リポジトリを立ち上げることになり、一周まわって戻ってきた感じ。
某誌の記事がもとで新聞に載った話は驚いた。改めておめでとうございます。

新聞沙汰になったことなど - よしなしごと

所属するRDUF小委員会で作成していたガイドラインの草案が固まり、総勢60人くらいへレビューを依頼。正直かなり緊張した。
休止していた運動も週一ペースでゆるゆる再開。

12月

社会調査方法の勉強に悪戦苦闘しつつも、何とかライブラリアンとしてやるべきことが見えてきた(気がするだけかもしれないが)。
担当特集号の最終チェック(特に座談会)がかなりのエフォートを占めていた記憶。どうにかfixできて何よりでした。
そして某誌の記事の新聞沙汰第2号(しかも同じ特集から)。改めておめでとうございます。

「粗悪学術誌掲載で博士号 8大学院、業績として認定」についての補足+元ネタ原稿について - かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)
職場の忘年会に参加したのは何気に5年ぶりくらい(前職ではそもそもやってなかった・・
クリスマスの夕刻にブレストしてプレゼントをもらった(宿題が出た)のは思い出になりそう(笑)。

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書き出してみると、結構引用先がないことに気が付きました。備忘録としてはちょっと活動不足ですね・・・今年はもう少し更新できると良い(希望)。
気が向いたら追記するかもしれません。あしからず。

11/20 "A data citation roadmap for scientific publishers"論文メモ

11/20に出版された"Scientific Data"の論文に、なかなか興味深いものがあったので読んでみた。

A data citation roadmap for scientific publishers | Scientific Data

共著者の所属がElsevier、Springer、PLOS、eLife、Wiley等々、著名な出版社が8つも並んでいる。アツい連携(所属的に)。

続きを読む

10/20 JSPS人社系シンポジウム参加メモ

JSPSの人文学・社会科学データインフラストラクチャー構築プログラム シンポジウム ―データの活用による人文学・社会科学の飛躍的発展―(於政策研究大学院大学)に参加しました。

課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業|日本学術振興会

"今後5年をめどに、日本学術振興会を中核に人文学・社会科学の分野における学術的調査データのうち、重要かつ研究者の利用に供することが有用である電子化された調査データの保存・管理等の取組を行う人文学・社会科学分野の拠点を形成"とのことで、今回はハーバード大学のRobert Putnam教授の講演を拝聴しつつインフラのあり方を考える、とのこと。
政治学分野の大物が来日されるとのことで、登壇者もほぼ政治学分野、聴衆も大分偏っていた様子。そんな折、文科省研究振興局の挨拶では、「インフラの話は自然科学系中心になりがちだったところ、人社系は今回が最初で最後のチャンスだと思って活動をお願いしたい」との強烈なメッセージが・・・

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Putnam教授の基調講演では、"How did we get here? : the curious case of social change in 20th Century America"とのタイトルで、ご自身の活用事例に基づいたデータアーカイブの重要性が述べられた。
現在のアメリカの様々な問題(経済格差、政治的分極化、社会的孤立、文化的ナルシシズム)対策へのヒントを得るために、1900年初頭からの様々なデータから傾向を見た、というもの。使用したデータや指標そのものの妥当性についてはコメントできる知見を持ち合わせていないものの、過去のデータが再利用される事例として興味深く拝見した。ある一つの「信頼できる指標」を考えるのではなく、複数の指標からその傾向を判断する≒質より量的なデータの使い方は印象的でした(理解が違ってたらすみません)。

第2部のパネルディスカッションでは、モデレーターの前田先生(東大社研)からの導入として、①現在を理解するための過去データの重要性、②社会科学のデータリポジトリに求められる役割の変化(アーカイブ→サービス)、③データを保存・共有する意義(オリジナルの重要性、データ収集のコスト、異なる角度からのデータ分析、再利用性、公共性)、などが紹介された。Putnam教授の講演でも示唆されていたが、データは不完全である以上、複数のデータソースで確認する必要性を強調されていたような。
その後、久米先生(早稲田大学)、稲葉先生(日本大学)、佐藤先生(東北大学)、鹿毛先生(東京大学)からそれぞれコメントがあった。Putnam教授との関わりに引き付けながらコメントを、と事前に宿題が出ていたとのこと。個別のコメントは記しきれないが、全体的にデータアーカイブの話ではなくデータ利活用のことが中心になっていた(もっとも、Putnam教授の講演もアーカイブの具体的なところには特に触れていなかったが)。
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全体的な感想としては、プログラムの趣旨とはやや異なり(?)、データをアーカイブし共有する意識が全体的に薄い印象を受けた。登壇者からも、インフラの維持には資金が必要、などの、あえて言えば当たり前のコメントが目立つ。研究者の主たる関心はデータ分析とそこから得られる知見なので当然といえば当然だが、モデレーターとの意識の差が妙に際立ったという印象を受けた。
このプログラムでは人社系データの国内拠点機関を設けて推進していくとのことだが、保存、共有を担う人材がこのプログラムで担保されるのかどうか、引き続き注目していきたい。