みなみの備忘録

とある大学(?)図書館員の備忘録です。

5/18 日本学術会議フォーラム「危機に瀕する学術情報の現状とその将来」メモ

今日は日本学術会議で開催されたフォーラムへ。図書館外でジャーナルの購読料問題を真正面から扱ったものはあまり見たことがなく、斬新でした。

日本学術会議フォーラム「危機に瀕する学術情報の現状とその将来」

http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf2/239-s-0518.pdf

フォーラムの報告は「学術の動向」9月号に掲載されるということなので、個人的に面白かった点だけ。

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・講演:「学術誌の安定的・持続的アクセスに向けて」

NIIの安達先生。学術雑誌の高騰の話から、去年のSPARC Japanセミナーで尾城さんが喋られていたflippingの話が中心に。「ビッグディールで行き詰った現状を打開するには、ゲームチェンジしかない」と熱く語っておられた。

国際学術情報流通基盤整備事業 │ イベント情報 │ H28 │ 2016年度第1回「オープンアクセスへの道」

マクロな視点で見ると、現在の日本の購読料を全部OA料金に振り替えれば40%くらいお釣りがくる、とのことだが、当然赤字になる大学もあり各機関での調整はなかなか難しそう。分野の差も結構あるだろう、という点にも言及されていた。

また、個人的に気になったのは、Web of Scienceのデータ中心で計算しているところ。主要な出版社だけでもflippingできれば潮目が変わる、ということなんだろうが、各機関でどれだけの説得力を示せるのか、は正直分からなかった(研究評価と同じような問題?)。

 

・講演:「デジタル時代の科学出版:オープン、ネットワーク化、データ駆動」

Elsevier社のAnders Karlssonさん。講演自体は英語だったものの、日本語で挨拶されており、討論も日本語で参加されたり端々で好感が持てる。

始めの段階から驚いたのが、Elsevierはinformation "analytics" companyだった、ということ(当たり前?)。publisherがメインじゃなかったのか。。。

Elsevier | An Information Analytics Company | Empowering Knowledge

ご講演で印象に残った点としては、購読モデルとAPCモデルの差のお話。

Subscriptionは読者のためのモデル、APCは論文を発信するためのモデルなので、両者は根本的に異なる、併存させてゆっくりとscholarly communicationを変化させていくべきだ、という主張をされていた。確かに、論文を読む比率と書く比率は分野によって大分異なるはずで、論文が主要な成果物ではない研究者も沢山いる。他の登壇者も、やはりOAより研究の質の話を中心にされていた、ということも鑑みれば、完全なflippingはまだ先の話かも。。。

もう一つは、(Elsevierが描く)オープンサイエンスの図。研究のライフサイクルのフェーズごとに出版がなされる、ということで、既存のジャーナル、データジャーナルのほか、「材料と方法のジャーナル」、「ソフトウェアジャーナル」なるものが書かれていた。斬新。

実例はあるのか、と思って探してみたところ、何かそれっぽいものがあったので備忘的に。(注:見出しだけで中は見てないので信用しないでください)

www.journals.elsevier.com

www.journals.elsevier.com

その他、出版社版に50日間無料でリンクできる仕組み(Share link)とか、いろいろな工夫が窺えた。うーん、非常に優秀ですな。。。