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みなみの備忘録

とある大学(?)図書館員の備忘録です。

2/28 第4回オープンサイエンスデータ推進ワークショップ参加メモ(後編)


後編です。前編はこちら:http://minamin.hatenablog.jp/entry/2017/03/06/175853
4人目は京大の天野さんから、機関リポジトリ推進委員会で開発中のRDM(研究データ管理)トレーニングツール紹介。既に、

AXIES2016(https://axies.jp/ja/conf/conf2016/8r18v2/general-session

第3回SPARC Japanセミナー2016(http://www.nii.ac.jp/sparc/event/2016/pdf/20170214_8.pdf

で一部紹介されているが、アップデートも兼ねてとのこと。
RDMの中核要素を①RDMインフラ、②ヒューマンリソース、③組織体制、④コミュニティ、とした上で、研究支援職という立場から日本語で教材の提供を行いたい、というお話。MOOCで提供予定。
本ブログの中の人も開発に参加しているためコメントしづらいが、国内でのRDMの基礎(たたき台)となる資料はやっぱり必要で、こういった取り組みを元により多くの人が活動に参加してくれれば嬉しいところ。


5人目、こちらも京大の能勢先生からRDMの実践例。
データ取得と解析の具体的な事例紹介は非常に面白かった。1データセットにdoiを付与するまでにどれだけの手間がかかり、維持管理の心配もしなければならない、というくだりは実感が湧いた。
RDMは、一般の研究者にとっては無用な手間が増えるだけ」と思ってしまうのはもっともなので、研究者のみなさんがそう思ってしまう前に何とかしなければならないところ。
能勢先生からはデータ公開やRDMに対する評価体制の構築、利用が容易なシステム構築や図書館との連携などが対策案として挙げられていたが、意外にも(?)フロアの反応は違った角度からきていた。曰く、「初めからそういうものと思って学生に教育を進めるべきでは?」というもの。規範、慣習になる方向性。
確かに、まず取っつきやすいのはこれから研究者になる人だろうし、そこから潮目が変わることも十分に考えられる(そこまで社会的に待ってもらえるか、は別問題として)。
具体的な働きかけを考える際には意識しておきたい。


6人目、NIIの込山先生。NIIの研究データ管理基盤紹介。
研究公正とオープンサイエンスの両立、という問題意識から、既存の図書館員ではカバーできないと思われる、研究プロジェクトを対象としてフォローしたいとのこと。助成機関とも連携して進めており、まずlong tailデータを対象としつつ、Open Science FrameworkをNIIドメインにして開発中。
https://osf.io/
開発元のCenter of Open Scienceとも協働関係をきちんと築いており、NIIで開発したプラグインを提供している、のくだりは(継続性の観点で)結構重要に感じた。
現在は6機関(北大、名大、京大、九大、阪大、NII)で使い勝手のトライアル実施中とのことで、早い実装に大変期待。
なお本家との違いとして、公開基盤としては既にJAIRO Cloudがあるため、公開機能は削っているそう。あくまで非公開部分のデータを管理する基盤、という位置づけになるようだが、どっちがいいんだろうか??


7人目は極地研の門倉先生、極域環境データサイエンスセンターの紹介。
来年度から情報・システム研究機構内で立ち上がるデータサイエンス共同利用基盤施設のうち、極域環境データサイエンスセンターの紹介。ちなみにセンターは現在6つある様子。
https://ds.rois.ac.jp/
極地研の中のデータベースは沢山あるが、各々の分野限定であることや公開の進み方にばらつきがあり、マンパワー、ハードウェア、ソフトウェアのリソースも様々である、という問題意識から、総合的な検索・可視化・解析システムの設計・構築がしたい、という目標のお話だった。最近のトピックであるデータジャーナルの紹介はさらっと流していたが、質問はそこに向かってしまう。。。
https://pdr.repo.nii.ac.jp/
内容は予算の取り方的なお話だったので割愛するが、関心度の高さがうかがえた。


8人目はBernd Ritschelさん、超高層科学分野でのLOD vocabularyについて。
SPASEのメタデータスキーマをSKOS形式に変換するために、vocabularyの整備を行っているとのこと。
http://www.spase-group.org/
※去年、なぜかJAIRO Cloudにこのスキーマ名が搭載されていて驚いた。実装された訳ではなかったみたいだけども。。。
IUGONET、ESPAS、GFZ ISDCといった関連分野のスキーマを統合したいとのことだが、わざわざLODを使う理由が良く分からなかった(ので質問してみたけれど、やっぱり良く分からなかった)。
新しい技術を試すのは有意義だと思うけれども、これだけ分野が近いんだから直接マッピングしたほうが早いし定義のずれも最小限で済むのでは、というのが正直な感想。


9人目はJSTの小賀坂さん、JSTにおけるオープンサイエンス対応。講演部分はこれで最後。
2/14のSPARC Japanセミナーと同じ内容、という前置きで話されたが、
http://www.nii.ac.jp/sparc/event/2016/20170214.html
最後のほうにJST未来社会創造事業の紹介が増えていた。公募テーマ、領域を研究者と一緒に作っていく新たな取組みとのこと。
前回も気になったPID switchboard Japan(次期JaLCシステム構想)がどういう構想のものなのか、についてはやっぱり分からず。
THORとはどう違うんだろう。


最後にNISTEPの林さん、まとめコメント。毎回その場で一日の全体像を振り返りつつメッセージにまとめる、という達人芸を披露されているが、今回はさらに全て英語で行うという離れ業。
Data sharingの文化を醸成していくことによってData drivenな研究を進めたい、では現在とのギャップをどう埋めるのか、という視点で話をされていた(と理解した)。
印象に残ったのは、「あったらいいね(may-have services)」ではなく「なくてはならない(must-have services)」を作ることが重要、というメッセージ。今回の講演からは、collaborate and co-designがキーワードの一つと言えそう、とのことだった(ここは少々聞き取りが怪しいかも)。
図書館絡みでも既に事例はいくつか出てきてはいるので、来年度の展開に期待したい。