みなみの備忘録

とあるライブラリアンの備忘録です。

2021年11月のメモ

引き続きイベント続きの月でした。今月は国内イベントが中心(といってもRDAは結構ボリュームがあった)。成果物もいくつか無事に公開へこぎ着けて一安心。

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上旬はRDA 18th plenaryにバーチャル参加。

RDA's 18th Plenary: Programme | RDA

今回は喋る機会はなかったものの、図書館総合展と時期が重なったこともあり妙に慌ただしい気持ちに。個人的に一番興味深かったのはGORCのセッション。

Building the International Model for the Global Open Research Commons (GORC) | RDA

グループ名のスケールの大きさとは裏腹に、検索タグの付与に使用する用語といったかなりニッチな部分を詳細に議論しており、地に足がついた進め方に感銘を受けた。

職場のブログにも感想を書きました(こっちは概要のみ)。

RDA 18th plenary に参加しました|活動報告|国立情報学研究所 オープンサイエンス基盤研究センター

他にはデータリポジトリのセッションにも興味あったのだけど、朝1時スタートということで力尽きた。あとで録画を見ます。

Defining Common Attributes for Data Repositories | RDA

並行して、図書館総合展でフォーラムを1つ開催しました。

学術機関による研究データのキュレーションサービスを考えよう

日本の大学図書館ではほぼ根付いていないデータキュレーションサービスを取り上げたので、そもそも人が来てくれるのか不安があったものの、登壇者の方々のお陰で400人を超える方に登録いただいた様子。質疑応答も活発で、大変充実したセッションになりました。 

もう一つ、「人文学・社会科学におけるデータ共有のための手引き」が無事に公開されました。

人文学・社会科学におけるデータ共有のための手引き

足掛け2年ほど?社会科学を中心にいろいろな分野の方々と濃い議論をし、普段と違った読者層への書き方で悩んだりと、非常に貴重な経験ができました。今後各所での活用に期待しています。

 

中旬は某書籍出版計画が本格始動。共同執筆陣でミニワークショップを3回くらい行い、ひたすら構成を考える。これ超面白い。
並行して、JPCOARの総合展セッションに合わせる形で、某タスクフォースで作成していたチェックリストを公開しました。

「リポジトリのグッドプラクティスのためのCOARコミュニティフレームワーク」チェックリスト ver.1

こっちは半年くらいの成果物であるものの、かなり密度の濃い議論や展開でした。今年度の残りは活用と普及方法に注力することになりそうです。

 

下旬、11/22はRDUFの総会・公開シンポジウムに参加しました。

イベント | 研究データ利活用協議会 RDUF(Research Data Utilization Forum)

(イベントの固定リンクがないの地味にやりづらい・・)

自分は活動中の部会の進捗報告などを担当しつつ、今回はかなり聞きに回る。総会のライトニングトークがさらに充実した印象。それと、今回初のプレナリーセッションが非常に興味深いご講演でした。これは是非続けてほしい。

もう一つ、九大さんのシンポジウムを聴講。

シンポジウム「情報管理組織のミッションと専門職養成」開催のご案内 – 統合新領域学府 ライブラリーサイエンス専攻

別用がありやや聞き流す形になってしまったものの、ご講演は非常に興味深かった。司書の方はかなり技術寄りなご講演、アーキビストの方は理論的な側面が強いご講演という対比があり、さらに「残すべき情報」に対しては似たような指摘をされているようでいて、文脈に対する意識が大分違うように感じた。強いて言えば、前者は情報の新たな活用可能性を意識した文脈の付与、後者は情報解釈の正統性に対する文脈の付与、という感じだろうか(いまいちうまく表現できていない・・)。

どちらも必要な情報だけれども、リッチなメタデータ付与には当然コストがかかる。特に知識インフラに関わる専門性はなぜ必要なのか、どう役立つのかの議論はもう少し外向けに分かりやすい形でやっていく必要があるかもしれない(データライブラリアン職である自分の宿題そのものですね)。